警視庁警務部監察官の羽生宗一(中村梅雀)は、警察組織の中でも恐れられている男。監察官とは警察内部を監視する、いわば“警察の中の警察”だが、羽生は中でも、その容赦ない監察ぶりから“毒ハブ”とよばれていた。
ある日、“随時監察”のために、監察官補佐・上原和也(渡辺大)と共に所轄署に向かった羽生。随時監察とは予告なしの抜き打ちで行われるため、所轄にとっては寝耳に水、まさに恐怖の監察だ。上原と共に証拠の保全状況の査察をはじめた羽生は、その所轄署で宿敵の橋爪管理官(春田純一)と鉢合わせする。
実はその朝、管内で男性の刺殺体が発見され、この所轄署には橋爪が指揮を執る捜査本部が立てられたばかりだった。殺されたのは塩崎貴一(四方堂亘)という弁護士で、昨夜何者かに襲われたらしい。「コロシの本部が立っているんだ。少しは遠慮しろ」という橋爪の皮肉を受け流し、査察を進めた羽生は、証拠保管庫から1点の証拠品が紛失していることに気づく。
それは、出入国管理法違反で摘発を受けた店で証拠品として押収した、“亜里沙”というホステスの履歴書で、彼女はそれまで無遅刻無欠勤だったにもかかわらず、摘発の当日だけ無断欠勤したとわかる。
一方、殺人事件を捜査する橋爪たちは、事件当日の塩崎弁護士の足取りをたどっていた。その日、塩崎はヤミ金融業者・港洋介(葛山信吾)と事務所で面会した後、夜には“亜里沙”という女と会う予定だったと判明する。ところが塩崎の事務所に残されたホステス・亜里沙の名刺から、伊藤菜穂子(雛形あきこ)という指名手配犯の指紋が検出されたため、本部は騒然! 菜穂子は半年前、夫を殺した容疑で指名手配され、事件後の行方は不明のままだった。
亜里沙の正体が指名手配犯の菜穂子だと知った羽生は、署内の誰かが菜穂子の履歴書を証拠保管庫から不正に持ち出したとにらむ。その人物は菜穂子に摘発情報を漏らし、彼女の逃亡を手助けしたのではないか…。調べると、摘発に関わり、証拠が紛失する前に保管庫に出入りしていた刑事は、3人。殺人事件の捜査本部にも参加している栗原刑事(尾美としのり)、三島刑事(五刀剛)、そして生活安全課の板橋刑事(林泰文)だった。羽生は、彼らの聴取を開始するが…!?
そんな中、橋爪のもとに、菜穂子に似た女性が池袋のビジネスホテルにいるという通報が入る。捜査員たちが急いで向かったところ、すでに部屋はもぬけの空。またしても、誰かが菜穂子に情報を漏らしたとしか思えなかった…。だがその矢先、羽生の監察官室に「菜穂子に摘発の情報を漏らしたのは板橋だ」という謎の密告電話が入って…!?